2020年から2025年にかけて、私自身のエンジニアとしての成長と、AI技術の急速な進化が同時に進行していました。この記事では、個人の視点から見たIT業界の変化と、それに適応していく過程で気づいたことをお伝えします。
技術環境の激変:2020年と2025年の比較
2020年当時の技術環境
- クラウドネイティブアプリケーションの普及期
- マイクロサービスアーキテクチャへの移行が進む
- コンテナ技術とKubernetesの台頭
- 手作業によるコーディングとテストが中心
2025年の技術環境
- 生成AIによるコード生成が一般化
- AIペアプログラミングが標準的な開発手法に
- ローコード/ノーコードプラットフォームの成熟
- クラウドネイティブ開発の完全自動化が進行
この5年間で、技術環境は想像以上のスピードで変化しました。特に生成AIの登場は、私たちの働き方を根本から変えつつあります。
エンジニアとしての成長曲線
2020年:コーディング中心の時代
私が入社した2020年当時、エンジニアの価値は主にコーディングスキルで測られていました。アルゴリズムやデータ構造の理解、言語やフレームワークの専門知識が重視され、1日の大半をコーディングに費やしていました。「良いコードを書く」ことが最大の価値だと考えていた時代です。
2022-2023年:視野の広がり
経験を積むにつれて、「コードを書く」以外の価値に気づき始めました。システム全体の設計やチーム内コミュニケーション、ビジネス要件の理解が重要だと実感するようになりました。
あるプロジェクトで技術的には優れていても、ビジネス要件と合わずに手戻りが発生した経験から、「正しいものを作る」ことの重要性を学びました。この時期からコーディング時間は減少し、設計やコミュニケーションの比重が増えていきました。
2024-2025年:AIとの共存
生成AIの台頭により、状況は劇的に変化しました。かつて重要だったコーディング作業の多くがAIで代替可能になる一方で、設計やプロジェクト管理などの上流工程はむしろ重要性が増しています。
最近のプロジェクトでは、コードやテストケースの作成をAIに任せ、私自身は全体設計やチームコミュニケーションに集中するようになりました。人間は「何を作るべきか」の判断と、AIの出力の評価に注力する時代になったのです。
AIが代替しにくい能力の獲得
振り返ると、私の成長曲線は図らずもAI時代に適応的なものでした。プログラミングの基礎から始まり、設計やアーキテクチャの知識を習得し、プロジェクト管理やリーダーシップを学んできました。
結果的に、私が身につけてきた能力の多くは、現在のAIが苦手とする領域と重なっています:
- 複雑なシステムの全体設計: 多様な要素が絡み合うシステム全体を俯瞰する能力
- ステークホルダー間の調整: 異なる要求や制約のバランスを取る能力
- ビジネス価値の判断: 技術的に可能なことと、価値があることを区別する能力
- チームマネジメント: 多様なメンバーの強みを活かし、チーム全体のパフォーマンスを高める能力
これからのエンジニアに求められること
1. 基礎力の重要性は変わらない
AIツールを正しく活用するためにも、技術の基礎理解は依然として重要です。
2. 早期からの視野の広がりを意識
実装だけでなく、設計や要件定義、ビジネス面への理解を深め、チーム運営やプロジェクト管理のスキルを磨きましょう。
3. AIとの効果的な協業
AIを「置き換える対象」ではなく「強力な協力者」として捉え、AIの得意分野と苦手分野を理解し、人間ならではの判断力と創造性を磨きましょう。
4. 継続的な学習と適応
新しい技術トレンドへの感度を高め、失敗から学び、変化を恐れず機会として捉える姿勢を持ちましょう。
まとめ:変化を味方につける
技術の進化に恐れを抱く必要はありません。個人の成長とテクノロジーの進化を上手く組み合わせることで、より価値の高い仕事ができるようになります。
基礎をしっかり学び、視野を広げ続け、新しい技術を積極的に取り入れる姿勢。これが、AI時代のエンジニアとして成長し続けるための鍵です。
最後に、この5年間で最も重要だと感じたことは、「変化への適応力」です。技術は常に進化し続けますが、その本質を理解し、柔軟に対応できる人材こそが、これからのIT業界で真の価値を発揮できるでしょう。
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